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調査手法による違い

当サイト「歴史や成り立ちによる違い」でも見てきましたが、探偵のルーツである岩井三郎は、警視庁の刑事出身です。

探偵になってからも当然刑事時代の尾行、張り込み、聞き込み、内偵などの捜査手法が踏襲されているはずで、それらの手法は現在の探偵の手法にも受け継がれています。

それに対し興信所のルーツは、日銀と銀行団が設立したもので、その調査員を構成していたのも経済人、つまりビジネスマンが占めていたのではないかと想像されます。

当初は企業の信用調査を主に扱い、その対象も企業がメインである以上、財務指標などのデータも一般に公開されているものが多く、それらの裏付けも直接経営者や関係者へ面談して比較的オープンに聞き取りを行えます。

また当時興信所が得意としていた結婚調査においても、お見合い結婚が主流の社会情勢の中、興信所を使って結婚相手の身元を調べるということも慣例化していましたので、これも比較的容易に聞き取りを行えたという背景もあります。

私のかつての先輩からも、「表面的に調べるのが興信所で、さらに相手の内面まで入り込んで調べるのが探偵」だというようなことを聞かされたことがあります。

まさに興信所はそうした表面的なデータや直接面談などの手法を使って調査を行いますが、探偵は、そうしたデータに加え、尾行や張り込み、時にはその企業の内部に入り込む内偵などの手法を使う場合もありますので、こうしたことを言い当てているのかもしれません。

もっとも、これも昔の話であって、現在では両者の手法についてはそれほど違いがないのではないかと思います。

ただ、過去に接したのことのある興信所出身の方は、財務関係書類には非常に詳しかったので、現在でも興信所と名のつく会社はそうした企業の信用調査には特に強みがあるのではないかという印象を持っています。

探偵は身分を隠し、興信所は身分を明かす?

よく興信所は身分を明かして調査を行い、探偵は身分を隠して調査を行うというようなことも聞きますが、それも上述の経緯から単にそう言われているだけなのではないかと思われます。

そもそも興信所も個人の浮気調査や人探しを行う現在において、興信所だからと言って、わざわざ対象者や周辺人物に身分を明かすことはありません。

浮気調査で身分を明かしていては仕事になりませんし、結婚関連等の身元調査においても身分を明かしていては、対象者に調べていることが漏れるなどこれも仕事になりません。

ただし、例えば行方調査などにおいては、行方不明者の情報を得るために聞き込みを行う関係先に対し、もし情報が入れば連絡をくれるよう、名刺などを渡しこちらの身分を明かす場合もありますが、あくまで状況に応じてケースバイケースです。

このように、身分を明かす明かさないということは、扱う案件や状況に応じてケースバイケースであり、特に明確な決まりがあるわけではありませんので、興信所と名がつくからと言って、浮気調査において身分を明かされるのではないかと早合点しない方がいいでしょう。

以上、探偵と興信所の調査手法の違いについてみてきました。

過去の両者の成り立ちの違いから、昔であればある程度手法に違いはあったかもしれませんが、現在では両者の境界線はそれほど明確ではなく、各探偵興信所によって得意分野や調査力の高低はあるにしても、手法の違いは大差ないといってもいいかと思います。

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