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浮気の境界線と不貞行為の定義

ひとくちに浮気、不倫と言っても、その定義やどこからが浮気なのとかといった境界線、ボーダーラインも人それぞれのようです。

例えば、自分以外の異性との間で、配偶者が以下のような行動をしていた場合、あなたならどこからが浮気と判定する境界線でしょうか?

《浮気の境界線はどこから?》
  • メールやSNSでのやりとり
  • 異性とグループでお泊り
  • 二人で食事
  • 二人でお出かけ
  • 手をつなぐ
  • キスをする
  • 二人でお泊り
  • SEXをする

上記すべての行為を浮気と判定する方もいるかもしれませんし、反対にSEXさえしなければ許せるという方もいるかもしれません。

また、性別や年代によっても定義に差があるかと思います。

特に性別で言えば、女性の方は相手のことを好きなのかどうかといった精神面を重視するのに対し、男性の方は肉体関係があるのかどうかという肉体面を重視する傾向があるというデータもあります。

このように、何を浮気とするのかといった定義、また、どこからが浮気なのかといった境界線は個人差があり、主観的なものであるということがわかります。

法律では浮気をどのように定義しているのか?

例えば、二人で手をつないだということをもって浮気と判断し、その行為がどうしても許せないということで、配偶者に離婚を告げ、配偶者が了承すれば離婚することはできるでしょう。

また、キスをしたということに、精神的に傷ついたということで慰謝料を請求し、同じく相手が了承し支払ってくれるということもあるかもしれません。

このように、自分の主観的な浮気の定義であっても当事者同士の話し合いで決着できれば、何も問題はありません。

しかし、配偶者は手をつないだぐらいは浮気ではないということで、離婚や慰謝料請求を認めなかった場合には、調停や裁判といった法的な手段で決着をつける必要が出てくるのです。

法定離婚原因

どのような理由でも協議離婚という形で、お互いの話し合いで合意できれば離婚することは可能です。

ただし、いざ裁判ということになれば、民法で定められている以下の離婚原因のいずれかに該当していなければ訴訟を起こすことができません。

①配偶者の不貞行為

②悪意の遺棄

③3年以上の生死不明

④回復の見込みのない強度の精神病

⑤婚姻を継続しがたい重大な事由

民法第770条1項

こちらが配偶者の浮気を理由として訴訟を起こすのであれば、①の不貞行為を原因として離婚を請求することになります。

出典元民法第770条

不貞行為とは?

冒頭に述べましたように、いわゆる浮気、不倫の定義は人それぞれで主観的なものです。

しかし、いざ裁判で離婚や慰謝料請求で争う場合には、法律が定義する不貞行為を立証しなければなりません。

では、不貞行為とはどのような行為を指すのでしょうか?

不貞行為とは、最高裁の判例に基けば「配偶者以外の異性と自由意思にもとづいて性的関係を持つこと」とされています。

日本においては一夫一妻制ですので、婚姻関係にある夫婦には、お互いに貞操義務があるとされています。

その貞操義務に反するため「不貞」とされ、不貞はその貞操義務に反する債務不履行、もしくは不法行為にあたります。

さらに、不貞行為は「婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益」を侵害する行為とされ、同じく不法行為となります。

こうした不貞という不法行為に対して、離婚の請求や損害賠償としての慰謝料の請求が行えるのです。

なお、「性的関係」というのもあいまいな表現ですが、過去の判例によって、性的関係とは性交および性交類似行為とされています。

性交類似行為とは?

性交とは挿入を伴ういわゆる肉体関係ということで理解できるのですが、性交類似行為の明確な定義というものがなかなか見当たりません。

そんな中、参考となる定義として、児童買春・児童ポルノ禁止法における性交類似行為の解釈が挙げられます。

「性交類似行為」とは、実質的にみて、性交と同視し得る態様における性的な行為をいい、例えば、異性間の性交とその態様を同じくする状況下におけるあるいは性交を模して行われる手淫、口淫行為。同性愛行為などであり、児童買春・児童ポルノ禁止法における性交類似行為の解釈と同義である。

もちろん、この定義が不貞行為における性交類似行為と必ずしもイコールではないのかもしれませんが、これによると、手淫、口淫行為とされていますので、手淫、口淫による射精が伴う行為であるのではないかということが推測されます。

しかし、あくまで不貞行為として明確に定義されているわけではありませんので、性交類似行為については弁護士等法律の専門家にご相談ください。

不貞行為に該当するケースしないケース

それではどのようなケースが不貞に該当し、あるいは不貞に該当しないのかということを見ていきたいと思います。

もちろん、さまざまな事情を考慮して判決が下されますので、一概にこれは不貞でこれは不貞ではないということは言えず、あくまでケースバイケースです。

個別の不貞行為の事案については、事前に弁護士などの専門家に相談の上、裁判等を進めていただくとして、ここでは大まかな不貞行為の考え方を見ていきたいと思います。

1回限りの不貞行為

よく1度だけの浮気は不貞行為にならないなどの議論があります。

探偵や興信所でも不貞の証拠も1回ではなく複数回の証拠を取るように勧めているところもあります。

実際のところ、一回きりの浮気は不貞にならないのでしょうか?

恋愛感情のない肉体関係

不貞をした配偶者がよく、「恋愛感情は無い、あくまで遊びだよ」等々の言い訳をすることがあります。

しかし、法律で言うところの不貞行為は、恋愛感情があるのか無いのかは関係ありませんので、こうした言い訳は通用せず、恋愛感情の無い性的な関係でも不貞行為となります。

売買春行為における肉体関係

金銭が伴う売買春行為は、金銭で割り切った肉体関係なので不貞行為に該当しなさそうですが、上記のように感情等の動機は関係なく、あくまでその行為自体が問われますので、売買春での肉体関係でも不貞行為となります。

この場合、旦那さんには内緒で風俗店などでバイトしていたという場合でも不貞行為になりますし、男性が風俗店を利用した場合でも不貞行為になります。

風俗店の場合、性交を目的としたソープランド等の利用でしたら、あきらかに不貞行為となりますし、本番行為が無いとされているヘルス等の利用は、性交類似行為と認定されれば不貞行為となるようです。

相手が同性だった場合

不貞の相手が配偶者と同性の相手だった場合には、上述の性交類似行為の定義の同性愛行為に該当しそうですが、そもそも不貞行為は異性との間での性的関係を前提としていますので、同性の場合には不貞行為には該当しません。

ただし、その関係が婚姻関係の継続を困難とさせるものであれば、不貞としてではなく、上述の法定離婚原因の「婚姻を継続しがたい重大な事由」を理由として離婚請求を行うことになろうかと思われます。

強姦など無理やり肉体関係に至った場合

上述の不貞行為の定義に照らし合わせれば、「自由意思にもとづいて性的関係を持つこと」ですので、無理やり強姦された方は不貞行為になりませんが、強姦した方は不貞行為となります。

もっとも通常の強姦罪についても、被害者の同意があったのかどうかということが常に争点になりますので、その点を立証する必要性があるものと思われます。

参考刑法第177条

婚姻生活が破綻している場合

不貞行為が不法行為となるのは、婚姻関係における貞操義務に反する行為だからです。

しかし、すでに婚姻関係が破綻していれば、守るべき貞操義務は消失しているので、婚姻関係が破綻している状態での浮気は不貞行為に当たらないとされています。

よく別居中の浮気は不貞行為に当たらないという記述も見かけますが、必ずしも別居しているから破綻しているというわけではなく、同居していても破綻している場合もあります。

なので、別居しているしていないにかかわらず、破綻していたと主張する側は、さまざまな証拠で破綻していることを立証する必要があります。

内縁関係における不貞行為

「双方が婚姻の意思を持って共同生活を行い、社会的に夫婦と認められていながらも、婚姻届を提出していない状態」の内縁関係(事実婚)の場合、婚姻に準ずる関係として通常の夫婦関係と同様に法的にも保護され、貞操義務も生じます。

従って、内縁関係にあるどちらかが別の異性と肉体関係を持った場合には不貞行為に該当し、不貞を理由とした内縁解消の請求や慰謝料の請求が行えます。

プラトニックな浮気

肉体関係は一切なく、別の異性との精神的な浮気、いわゆるプラトニックな浮気の場合には、上述しました性交および性交類似行為には該当しませんので、不貞行為には当たりません。

しかし、いくら肉体関係が無くてもそうした関係が許せず、離婚したいという場合には、法定離婚原因の「婚姻を継続しがたい重大な事由」を理由として請求することは可能です。

以上、一般的に言われている浮気の定義と法律でいうところの不貞行為の定義との違いについて見てきました。

裁判で不貞を原因とした離婚請求や慰謝料請求を行う場合には、訴訟を起こす側が配偶者の不貞行為を立証しなければなりません。

不貞行為は肉体関係ですので、どのような証拠でもいいというわけではなく、肉体関係があったという事実を立証できるものでなければなりません。

なので、こうした不貞の証拠取りで探偵や興信所の浮気調査の必要性が出てくるのです。

探偵や興信所に不貞の証拠取りを依頼する際には、料金等も含めじっくりと比較検討しましょう(詳しくは⇒浮気調査の料金を参照)。

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